108の質問に対する解答

ソフトウェア哲学研究室に掲載されている108の質問に対する解答を作成してみました。
解答は2種類、デカルトさんとヴィトゲンシュタインさんになりきって、それぞれ記載。
もち、私の知働化での立場は、ヴィトゲンシュタインさん(しかも後期哲学、言語ゲーム論ベース)です。
(実は、以下の質問と解答も言語活動としての言語ゲームになっています。)
2009年11月4日 大槻


 質問デカルトヴィトゲンシュタイン
 1
 ソフトウェアとは何だ? プログラムだ 記述によって得られた実行コードである
 2
 ソフトウェアは建築か? 人工物は全て建築だ 人間が意図を持って構築するものである
 3 ソフトウェア工学は正しいか? 普遍的な命題ならば正しい 正しいと思えば正しい
 4 正しいソフトウェアはあるのか? 証明されたものは正しい 皆がそう思えばある
 5 正しい要求はどこあるのか? 全ての人々が欲するものは正しい 主観世界にある
 6 ソフトウェアは見えるのか? 論理的はものは明快に見える インタフェースは見える
 7 見る必要があるのか? 必然的に見えてしまう 必要があると思えば必要である
 8 それは本当か? これは真実である 本当かどうかは社会的規範で決まる
 9 ソフトウェアは測れるのか? 測度はいかなるものにも定義できる 測れる人には測れる
 10 測る必要があるのか? 予測するには測らねばならない 測りたい人には必要である
 11 測る必要がないとしたら? 予測しないで済む世界があることになる 実証理論そのものの否定になる
 12 ソフトウェアとは何だ? 存在だ 実行可能な知識と様相である
 13 ソフトウェアは手続か? 手続きの性質を持つこともある 手続きという知識を適用することもある
 14 ソフトウェアはオブジェクトか? オブジェクトの性質を持つこともある オブジェクトという知識を適用することもある
 15 ソフトウェアは属性か? 属性の性質を持つこともある 属性という知識を適用することもある
 16 ソフトウェアは函数か? 函数の性質を持つこともある 函数という知識を適用することもある
 17 ソフトウェアとは何だ? 実体だ 問題と解の記述である
 18 問題なくして解答はあるのか? 解答は問題を示している 語り得ない問題はある
 19 問題はあるのか? 問題は神が与えた試練である 問題は主観世界の中にある
 20 問題は生まれるのか? 問題は最初からそこに在るのみ 問題とは人々の総意である
 21 問題は消えるのか? 問題は永遠に在り続ける 問題は主観世界の中から消えれば消える
 22 時は止まるのか? 時は止まらない 時という言葉の用法による
 23 時は絶対か? 時は前提である 家族的類似性の範囲が広いことを絶対という
 24 今とは何だ? 時の断片である 今という言葉の用法による
 25 今、何問目? 加算無限番目である 人によって異なる
 26 過去とは何だ? データである 現象の蓄積である
 27 未来とは何だ? 予測である デザインするものである
 28 ソフトウェアとは何だ? 個体だ 言語活動である
 29 わからないことはないのか? 理性の限界はない 理性には限界がある
 30 わからなくてはならないのか? わかってしまうものだ 限界を示すことはできる
 31 目の前にあるものは真実か? 我思う、故に、真実しかない 真実と思えば真実になる
 32 全てを見ているのか? 神は見ている それぞれの人に全てがある
 33 象を知っているか? 象は定義できない 知っていると振る舞うことはできる
 34 象はここにいるか? 象の存在を問うてはならない ここにいると思うことは勝手である
 35 クラマンタはここにいるか? クラマンタの存在を問うてはならない クラマンタのことを伝えることはできない
 36 新品の便器で水を飲めるか? 水を飲む器を便器と呼んでもかまわない 社会的規範が許せば飲める
 37 清志郎は生きているか? 清志郎はいない 故人が生きていると思うのは勝手である
 38 正しく見ているのか? 理性に従っていれば正しい 正しいと思えば正しい
 39 あるがままに見ているのか? あるがままにしか見えない 人によってあるがままは異なる
 40 ソフトウェアとは何だ? 概念実体だ 実行可能な人工物だ
 41 因果関係は成り立つか? 因果関係が全てだ 実世界で成立する法則による
 42 原因の原因はないのか? 原因は無限の連鎖だ 原因の認識は社会規範に従う
 43 そのまた原因はないのか? 全ての原因は神だ 因果の連鎖は認識の問題である
 44 あなたは母から生まれたのか? 原因を母と呼んでもよい それを知り得ないこともある
 45 母は母から生まれたのか? 原因は無限の連鎖だ 証拠と証言の社会規範により検証可能である
 46 あなたは誰から生まれたのか? 全ての原因は神だ 生まれるという言葉の用法による
 47 ソフトウェアはあるのか? 全てのものは存在する 語り得ないところにある
 48 どこにソフトウェアあるのか? 客観的存在の在処は宇宙と呼ぶ 人々の主観世界にある
 49 電子は存在するのか? 認識されるものは存在する 皆がある在るといえば在る
 50 波は存在するのか? 認識されるものは存在する 皆がある在るといえば在る
 51 宇宙は存在するのか? 宇宙は神の中にある 宇宙は共通了解でもあり、人の中にもある
 52 スリットを通過したのか? 通過できるものをスリットと呼ぶ 科学者が通過したといえば通過している
 53 猫は死んだのか? 永遠の命はない 猫は生きていてかつ死んでいる
 54 3は存在するのか? 数学的実体として存在する 公理が存在概念だとするとすれば存在する
 55 +は存在するのか? +は数学的実体である 公理が存在概念だとするとすれば存在する
 56 ないものはあるのか? ないとは数学的実体である 言語行為としては正しい
 57 ソフトウェアとは何だ? 概念構造体だ 抽象機械だ
 58 ソフトウェアはハードウェアか? ソフトウェアはハードウェアに組込まれる ハードウェア上でソフトウェアが実行される
 59 ハードウェアはソフトウェアか? ハードウェアはソフトウェアを実行する ソフトウェアがハードウェア化されることはある
 60 ソフトウェアはアートか? 芸術とは作者の意思である アートだと思う人もいる
 61 ソフトウェアはモデルか? 類似実体を含むこともある モデルだと信じている人も多い
 62 ソフトウェアの再利用は可能か? 再利用が全てである 知識の再利用である
 63 ソフトウェアは記述か? 記述によって実現される 記述によって構築される
 64 ソフトウェアを知っているか? 知らないとはいわせない 知らない人はもういない
 65 ソフトウェアは見えないか? 見えないとはいわせない 見えないに決まっている
 66 それは本当か? 問うことは許されない 本当なんてない
 67 ソフトウェアに価値はあるのか? 価値とは富を生み出すこと 様相による
 68 いったいどこにあるのか? 世界にある 主観世界にある
 69 ソフトウェアは誰のものか? 皆なのもの 所有する幻想にとりつかれた人
 70 ソフトウェアは買えるか? 買う気にはなれる お布施を払うことを買うと呼べば買える
 71 ソフトウェアは有限か? 加算無限個 有限ではないが有界ではある
 72 ソフトウェアは無限か? 概念の数だけある 無限ではないが無限と思うことはできる
 73 ソフトウェアとは何だ? 計算だ インタフェースだ
 74 名前とは何だ? 人が指示するコミュニケーションの道具 家族的類似性によるラベル
 75 名前は必要か? 外延なしでは世界は語れない 固有名のない言語はあり得ない
 76 犬にとって名前は必要か? 犬の振舞いを語るには必要 犬にとって必要だという言語行為は可能
 77 全てを記述できるか? 語り得ない事項は黙さねばならない 記述されたものが全てである
 78 神を記述できるか? 意味のない記述 ものがたりを語るのは勝手である
 79 天は動いていたのか? 動くとは相対的な事項である そう思う人もいる
 80 地は動いているのか? 地は天とともに在る そう思う人もいる
 81 上はなくなったのか? 上とは相対的な事項である 概念はなくならない
 82 下はなくなったのか? 下は上とともに在る 概念はなくならない
 83 全体とは何だ? 全体とは部分から構成される 全体は部分であり、部分は全体だ
 84 部分はあるのか? 部分は全体を構成する 還元不能な部分はある
 85 ソフトウェアは何だ? 実行されるものだ 生命だ
 86 想いは伝わるのか? 意味の共有は可能だ 意味は両立可能でしかない
 87 伝わっているのか? 客観的概念は伝わる 伝わりっこない
 88 共感はするのか? 共感とは伝わった事項の検証である 共感という振舞いは可能
 89 言葉は通じているのか? 言葉は解釈され意味を運ぶ 伝わりっこない
 90 同じ文は同じ意味か? 文脈に依存する 文に意味なんかない
 91 どうしてそれを確認できるのか? 等価の定義から確認できる 主観世界で無矛盾である確認しかでない
 92 すぐとはいつだ? 時間の位相である すぐといったらすぐだ
 93 この前とはいつだ? 時間の位相である この前といったらこの前だ
 94 A=? ? Aは正しいか? 正しいかどうかは事実の成立で決まる 正しいといったら正しい
 95 必要な事=必要ない事ではない事か? どちらでもないこともある 文脈の否定の否定は、比較できない
 96 ソフトウェアは何だ? 科学に支えられた実行体系だ 物語だ
 97 真理はあるのか? 真理は既に在る 発見されるもの 真理は一つの規範にすぎない
 98 ある必要があるのか? 必要とは神の意思である 必要があると思えば必要である
 99 科学は正しいのか? 正しいものが科学である 科学が正しいとする家族的類似性の範囲がある
 100 哲学は必要か? 真理に到達するためのはしごである 対象科学のメタ学問は必要である
 101 哲学は必要か? 信じるものは救われる 宗教とは思考停止の範囲を定める方法である
 102 数学は宗教か? 人間の遺伝子に組込まれた絶対的な原理 数学とは広範な言語活動である
 103 我思えば、ゆえに我ありか? 我は存在する 我は存在しない
 104 正義は一つか? 正義は全体最適化の戦略である 人それぞれである
 105 真理は一つか? 一つしかないものを真理と言う 人それぞれである
 106 ソフトウェアは一つか? ソフトウェアは加算無限個ある 人それぞれである
 107 ソフトウェアを知っているか? 理性の限界を超えることはできない 理性の限界を超えるソフトウェアもある
 108 ソフトウェアとは何だ? 神が造った贈り物である ディスコースである

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